石刀祭|山車奉納と献馬|愛知県一宮市の石刀神社のお祭り
石刀祭
葵の紋に歴史が宿る
四〇〇年を繋ぐ
いにしえの祭
石刀祭は、約400年以上続いてきた一宮市今伊勢町、馬寄に位置する石刀神社の祭礼です。毎年4月19日に斎行され、翌日曜日に山車献馬奉納を執り行う、2部構成となっています。(4月19日が日曜の場合は同日に行います。)
特に祭りのメインとなるのは「山車奉納」と「献馬」。
神社、山車、献馬、からくり人形、氏子、総代、子供会、出店、参拝者の皆様。祭に関わる全てが主役となって、老若男女問わず、長く続くこの祭りをつくりあげています。この貴重な文化と歴史を後世へとつなぐこと。それが私たちの願いです。
石刀祭 最新情報
祭り
天を仰ぎ眼を閉じる
神々に捧げる感謝の祈り
そもそもお祭りがなぜ、どの時期に行われるようになったのか?
その始まりは定かではありませんが、紀元前まで遡ります。当社の御祭神である手力雄命が活躍する神話「天の岩戸隠れ」から始まったとも伝えられています。そして、祭りの目的は鎮魂であったり、五穀豊穣であったり、病気平癒であったり様々ですが、それらは祈りであると同時に、神への感謝、最大級のおもてなしでもあるのです。その祈りや感謝は日本中で「祭り」という形で神様へ届けられています。
- 徳川家康公が命ず
石刀神社の祭りの始まり - 遡ること約四百年前、かの徳川家康公と石田三成の合戦「関ヶ原の戦い」にて、徳川家康公は石刀神社境内に陣を敷きました。その合戦によって、境内は激しく損傷し、荒れ果ててしまいます。 それを見た徳川家康公が合戦ののちに神社の修復を命じ、その奉祝として始まったのが「石刀祭」。今では珍しい”頭人行事”と山車奉納とが同時に執り行われる貴重な祭礼です。その祭りの始まりと同時に、石刀神社には「三つ葉葵」の神紋を拝領しました。
- 1608年慶長五年
- 関ヶ原の戦いの最中、徳川家康公が来社し、参拝する。その際に陣を敷いた為、社殿が大破、一時荒廃する。
- 1614年慶長十三年
- 合戦ののち、徳川家康公の命で石刀神社の修復が行われ、再建される。これを奉祝し、「石刀祭」が始まる。
- 1941年昭和二十年
- 太平洋戦争にて、一宮空襲で5台の山車のうち、2台が消失する。
- 2020年令和二年
- 新型コロナウイルスにより、石刀祭中止(その翌々年まで開催が中止となる)
祭りが続くということ、
続けるということ、
伝統を守るということ
始まりより
四〇〇年
継承
世代を超えて
渡し続ける
伝統の形
- 豊穣を祈る6頭の献馬と
戦を乗り越えた三つの山車 - 石刀祭では、当日に6頭の献馬と山車を奉納します。献馬には年の吉凶を占う役目、また、農民にとって切実な願いであった「降雨祈願・五穀豊穣」が込められています。
同じように、願いを込めた山車は1941年から始まった太平洋戦争の空襲にて、5輌のうち2輌は失われてしまいました。過去の石刀祭の写真には、今は見ることのできない5輌連なる山車の姿が伺えます。人災、天災、あらゆる災いが起これども、失ったものを忘れず、遺ったものをどう守ってゆけるのか。私たちは、後世へ繋いでゆきたいと願っています。
- 200歳を超えるからくり人形
- 山車にはお囃子隊と、様々な芸を披露するからくりの演出場があります。
本番に向け、各公民館で小学生〜80代までの幅広い層の人々が一丸となって祭りを盛り上げようと練習に励みます。
からくり人形は、なんと生誕200年を超えるものも。「300年を目標にしたい」。からくり人形を操る方々の願いです。
- 口伝でのみ伝えられるお囃子
人から、人へ - 〝ヒャーイウヒャーイウヒャーイウイーヒヤ
ヒヤオヒヤイウ ヒヤーロオヒヤーヒヤ ロウ〟
石刀祭のお囃子は、楽譜がありません。口伝でのみ伝えられ、唯一の譜はまるで台本のように言葉だけが連なっています。いわゆる音程や節などは、親から子へ、人から人へと口頭で伝えられて遺されてきたのです。
つまり、歌える者がいなくなると、このお囃子は永遠に失われてしまう。お囃子を絶やさないよう、その歌を絶やさないように、私たちは伝統と文化を守る活動をしています。
時代は巡りて
人は往ねども
宝は遺る
想いを乗せて
戦が起源となり始まった石刀祭は、
奇しくも太平洋戦争で5輌の山車のうち2輌が消失してしまいました。
そして、2020年からの新型コロナウイルスの影響で、
3年もの間、石刀祭の開催を断念しました。
あらゆる天災や人災、そして近年の核家族化や神社離れにより、
人々の中から「祭」、「伝統」や「文化」など、
大切な想いは失われつつあります。
私たちは、その大切な想いを守りたい。
次の世代へとつなぎ、そしてまた次の世代へと続いてゆく道をつくりたい。
その為に、祭りを守りながら、
同時に伝統を学べる活動を行っています。
しかし、祭礼は神社だけでは成り立ちません。
関わってくださる皆様あっての祭礼です。
少しでも興味を持ってくださった方、
是非一度石刀神社へお越しください。
先人が苦労して紡いできた〝想い〟を、
この先もずっと、皆でつないでゆけますように。